Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
本研究では,電子一つ一つの移動を制御することが可能な「単電子トンネル素子」を分子性結晶を用いて形成し,その室温動作を実現することを目指している。この素子の動作可能温度は,電荷が注入される量子ドットの大きさで決まり,容量の小さな量子ドットほど高温での単電子トンネル制御が可能である。C_<60>のような分子性結晶を材料として用いれば,一つ一つの分子が量子ドットとして働き,その容量が非常に小さいため室温での単電子トンネル動作が期待される。本研究では分子性結晶による量子ドットを「選択成長法」によって形成し,室温動作する単電子トンネル素子を作製する実験を進めている。選択成長法では,基板表面に分子が成長する個所を前もって加工描画することによって,10nmスケールの自由な形状の有機分子微細構造を形成することができる。 本年度は,これまで用いていた層状物質基板に代わり,絶縁体であるCaF_2(111)基板上での選択成長実験を試みた。CaF_2(111)表面は加熱清浄化するとフッ素で終端され不活性であるが,電子線照射により表面フッ素原子を脱離させるとその箇所だけ活性化する。この性質を利用すると,分子性結晶の選択成長に応用可能であると考えられる。またさらに電子線照射を続けることにより電子線照射箇所に金属カルシウムを凝集させることができ,微細な電極形成への応用も期待できる。実際にRHEED電子銃を用い,加熱したCaF_2(111)表面に電子線を照射したところ,幅400nm,深さ50nm,長さ1mm以上の溝状構造が形成されることが発見された。また,基板温度を制御してC_<60>をこの表面に蒸着することにより,溝内に幅200nm程度のC_<60>分子細線が形成可能であることを実証した。現在この細線に電極を取り付け,電気伝導度測定を試みている。
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