Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Research Abstract |
本研究を通して,べき乗硬化則に従う延性薄板中の進展き裂近傍における3次元的変形場の定性的性質を明らかにすることができた。進展き裂の解析をEuler有限要素法を用いて行った3次元進展き裂の詳細な解析結果と,静止き裂解析の結果を比較し,それらの進展メカニズムの違いを明らかにすることができた.3次元問題解析においても,静止き裂の場合はHRR特異性が現れるが、進展き裂の場合は応力-ひずみ特異性のオーダーが低くなることが確認できた.静止き裂の場合,き裂先端における薄板の面内(せん断)変形が支配的であるのに対し,進展き裂の場合は面外(せん断)変形が支配的となる.その結果,静止き裂の場合はき裂先端が鈍化するのに対し(Blunted Crack Tip),進展き裂ではシャープなき裂先端形状を保つ.これらの結果として進展き裂の場合は面外せん断変形により100%Shear-Lip破壊に至ると考えることができる.これら静止き裂と進展き裂先端における変形場の違いには,進展き裂の場合に発生する弾性徐荷域による変形拘束の影響が強く影響していると考えられるが,その具体的メカニズムの考察は今後の課題である.さらに,き裂パラメータT*の計算も行ったが,薄板の場合は3次元解析と2次元平面応力解析の場合で大きな違いが現れないことが判った. 当初は,論文に記載されている実験的観察から進展き裂の場合のき裂前縁は板に対して斜めになると考え,これを有限要素法で陽にモデル化し解析することを計画したが,上記のような考察により不要と判断し,解析を行わなかった.有限要素法により,き裂先端近傍の変形場に対して以上のような知見を得た例はなく,学術的・工学的に有用な結果と考える.
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