分子動力学法を用いた非晶質金属の破壊現象のメカニズムと破壊進行過程の解明
Project/Area Number |
10750074
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Materials/Mechanics of materials
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
中谷 敬子 大阪府立大, 工学部, 助手 (60295714)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 分子動力学法 / アモルファス / モードI型き裂 / き裂伝播 / 応力波 / 破壊 / ボイド生成 / J積分 |
Research Abstract |
液体急冷法により得られたリボン状のアモルファス金属の単軸引張試験を行なうと、ごくわずかな塑性伸びを示した後に、表面からき裂が発生、伝ぱし、ぜい性的に破壊することが知られている。この見かけ上のぜい性的な破壊過程は、アモルファス金属の合金組成比に依存しない本質的な特性である。その一方で、アモルファス金属は、高い降伏点を示すにも関わらず、その極めて優れた変形能を示すことが知られており、本質的には延性材料であると考えられている。 この一見矛盾するように思える二つの事実について、申請者はこれまでの研究によって、アモルファス金属においては変形によってある種の損傷(ダメージ)を受けた結果、原子の集団的な運動に対する抵抗力が著しく減少することを確認し、通常の結晶体の延性破壊のようにプロセスゾーンがき裂先端近傍に広がるのではなく、変形は高い応力集中によりき裂先端近傍の極小さい領域に局在化し、見かけ上ぜい性的に破壊が進行すると考えている。 以上のような仮説を実証するために、本研究では、分子動力学法によりアモルファス金属中のき裂先端近傍における原子の集団的運動の様相(メカニズム)を把握し、さらに現象が発現するための外力の臨界値(破壊のクライテリオン)を定量的に評価することを目的とする。 この目的を達成するために、今年度は、アモルファス金属のき裂先端近傍の破壊機構の分子動力学シミュレーションによる検討を行なった。 具体的には、アモルファス金属にき裂を導入し、モードI負荷のもとでの原子の運動について、分子動カ学法を用いて、以下のような内容で、解析を行なった。 (1) 変形メカニズムの温度依存性、負荷速度依存性について検討を加えた。 (2) これまでの研究で、き裂先端近傍場のJ積分評価を通じて、正確な力学状態を把握できることがわかっており、本研究においても、破壊に関連する原子の集団運動が起こる時点でのJ積分の値を計算することによって、臨界値を評価した。 (3) 外力の増大に伴ってき裂先端からはき裂面上下方向に強せん断変形領域が現れることがわかっている。この領域の伝ぱ特性について調べ、それが局在化(すなわち伝ぱを阻害)する要因について調べた。 (4) シミュレーション結果のアニメーションを作成し、動画を観察することを通じて、現象の理解を深めた。次年度は、アモルファス合金箔の引張試験による破壊実験を行ない、分子動力学シミュレーションを続けるとともに、マクロな視点からの解析と実験によるアプローチを試みる。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)