Research Abstract |
平成11年度では,数億実験として,1.「遺伝的アルゴリズムに基づく金型分割面の最適形状の生成方法の検討」を,成形実験として,2.「基礎実験用の試験金型の製作および実験」を実施した. 1において,金型分割面構造を表現する遺伝子構造とその操作(交叉および突然変異)および遺伝子を淘汰する際に用いる適合度の計算式を検討した.この式には,金型分割面先端の間隙量と金型分割面周辺で発生する最大の応力値の2つの項目を含み,最適化は事前に設定されたこれらの項目の目標値を満足する様に実行される.本年度は,各項目にその重要度を意味する重みを導入し,最適化中に生成された金型分割面の形状の状態に応じて,重みを変化させた.その結果,探索時の局所解からの脱出の困難性を解決し,重みの変更による解の多様性の確保と初期値依存性の解消を実現した. 2において,バリを意図的に発生させるため,金型分割面先端で任意の間隙量を設定可能な試験金型を製作し,バリの発生状態とその間隙量に関する基礎的な実験を実施した.この結果,発生する間隙量は,成形条件の違いにより,大きな差異が存在することを確認した.適切な成形条件下で間隙量を変化させて実験した結果,使用樹脂に関するバリの発生しない限界の間隙量を決定した.なおこれは,実際の設計現場において,金型分割面設計の設計指針としても応用可能な値でもある. これより,2の実験で得られたバリの発生しない限界の間隙量を,1の実験で検討した最適な金型分割面形状の生成方法に用いることで,射出成形法の成形不良の一つである金型分割面先端で発生するバリの低減を可能とする最適な金型分割面形状の実現の可能性を得た.
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