Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,固体表面近傍の液晶分子の配向の拘束(表面束縛)と,境界潤滑に効果的とされる表面配向吸着膜との類似性に着目して,表面束縛と剪断の影響を同時に受ける液晶分子の配向を,フーリエ変換赤外(FT-IR)分光光度計を用いてin-situ測定し,液晶境界膜の配向特性に関する知見を得ることである. まず,FT-IR分光光度計を用いた分子配向測定の定量化の方法を確立するために,比較的その挙動がよく知られている,電場存在下におけるネマチック液晶の分子配向の測定を行った.表面束縛を平行配向とした厚さ2μm〜10μmのセルにペンチルシアノビフェニル(5CB)を封入して,0V〜30Nの電場を印加し,表面束縛方向に平行な偏光赤外光と垂直な偏光赤外光を照射したときの,吸収スペクトルを測定した.その結果,CN結合の吸収ピークから分子配向の情報が,CH結合の吸収ピークから膜厚の情報が得られることが明らかとなった. 次に,液晶薄膜に剪断場および電場が存在する場合の分子配向を測定するために,表面束縛の状態,膜厚,すべり速度,印加電圧を独立に設定できる装置を試作し,同様な実験を行った.表面束縛は平行配向,垂直配向の二通り,膜厚は4μm,8μm,12μmの三通り,すべり速度は0.1μm/s〜4000μm/s,印加電圧は0V〜4Vとした.その結果,表面束縛は束縛方向に,剪断場はすべり方向に,電場は電場方向に分子を揃えようとする効果を持つことが明らかとなり,それらが競合する状態での分子配向を定量的にとらえた. また,液晶の連続体理論(ELP理論)および平均揚近似理論(MS理論)を用いることで,上記の実験結果を理論的に裏付けた.さらにこれらの理論を用いて,表面束縛,剪断場,電場の影響を受ける液晶境界膜の粘性率を計算し,液晶境界膜の電気粘性効果の可能性,知的潤滑剤としての可能性を明らかにした.
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