Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本研究では,神経回路網を備えた歩行モデルを導入し,身体内部の機能障害と異常歩行との関係および異常歩行の発生メカニズムの力学的解析をめざす。特に機能障害としては,これまで工学が全く着手しなかった「拘縮(関節運動範囲の減少)」を取り上げる。本年度はまず神経回路網を備えた歩行モデルを構築し,昨年度得られた健常者の関節可動範囲を考慮に入れ,正常歩行のシミュレーションを行なった。さらに拘縮を有する脳性麻痺児の関節可動域をモデルに導入し,拘縮による歩行異常のシミュレーションを試みた。歩行モデルは脚の左右交互や関節の屈伸リズムを生み出す神経回路網と筋骨格系リンクモデルで構成した。神経回路網は左右の股・膝・足関節の屈伸,骨盤の回旋,腰椎の屈伸運動を制御するものとし,筋骨格系は左右の大腿部・下腿部・足部と骨盤,上体部からなる2次元8リンクモデルとした。筋骨格系は二関節筋を含めて7個の主要な下肢の筋をもたせた。特に内部状態の変化(拘縮)を導入しやすい形にモデルの改造を加えた。はじめに神経回路網,回路網からの筋骨格系への入力および回路網へのフィードバックに係わるパラメータを試行錯誤的に決定し正常歩行のシミュレーションを可能とした。次に,この歩行モデルの関節の運動範囲に昨年度構築した拘縮モデルを導入して制限を加え,様々な程度の拘縮に起因する異常歩行のシミュレーションを行なった。シミュレーション結果は拘縮をもつ脳性麻痺児の歩行の特徴と類似したパターンを示すことが明らかとなった。今後さらに症例を増やしモデルの整合性を高める予定である。また,拘縮は特別な疾患に限らず,老化によっても観察される。したがって,本研究のターゲットを老人の関節可動域と歩行の異常あるいは歩行にまつわる疾患の発生と関連づけた研究を行なっていく予定である。
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