Project/Area Number |
10750226
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Electronic materials/Electric materials
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伊藤 貴司 岐阜大学, 工学部, 助教授 (00223157)
|
Project Period (FY) |
1998 – 1999
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | C_<60>、C_<70> / 酸素のインターカレーション / 希ガスのインターカレーション / 格子間隔の広がり / 電荷移動 / 大気中安定性 / Neのインターカレーション |
Research Abstract |
酸素のインターカレーションにより、大気中でC_<60>固体の物性は変化する。この大気中不安定性は電子デバイス等への応用上、重要な問題である。またその機構も分かっていない。そこで本研究では、酸素がインターカレートされるC_<60>固体中の隙間にNe等の希ガスを詰めることで、C_<60>の大気中安定化を試みた。また、酸素および希ガスのインターカレーションによるフラーレン(C_<60>、C_<70>)の物性への影響についても調べ、それぞれの機構について検討した。以下に本研究で得られた結果をまとめる。 (1)C_<70>固体でも酸素がインターカレートし、C_<60>と同様にC_<70>固体の電気抵抗率および電子スピン密度が増加することが分かった。 (2)ガス放出スペクトルより、C_<60>固体を大気圧のNeまたはAr中に100℃で保持することにより、NeまたはArがインターカレートすることを確認した。 (3)NeのインターカレーションによりC_<60>固体の電気抵抗率は増加するが、電子スピン密度は変化しないことが分かった。X線回折より、,C_<60>固体の格子間隔が若干広がることが分かった。また、電気抵抗率の増加は原子サイズがより大きいArの場合の方が大きいことが分かった。 (4)上記の結果より、NeおよびArのインターカレーションによる電気抵抗率の増加は、格子間隔の広がりによるもので、そのため電子スピン密度には変化がないものと考えられた。一方酸素のインターカレーションによる電気抵抗率の増加は、酸素がアクセプタとして働くためで、この電荷移動により電子スピン密度の増加が起こると考えられた。 (5)NeをインターカレートしたC_<60>薄膜の電気抵抗率および電子スピン密度は、Neフリーな試料に比べ、大気中にて急激に変化した。これは、格子間隔の広がりに起因すると考えられた。また、この結果よりNeのインターカレーションにより、C_<60>固体はより大気中で不安定になると考えられる。
|