Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
人は様々な対象物を巧みに操作することができる.この視覚・運動制御系における制御ループには,大きな時間遅れが存在する.このため,単純なフィードバック制御だけでは対象物を巧みに操作できない.この観点から,本研究では,対象物の内部モデルを学習により獲得し,その内部モデルを用いた運動計画や予測が本質的や役割を果たしていると考えている.この観点から研究を行い,得られた研究成果を列挙する. (1)把持運動の錯視の影響 本研究では,力覚提示装置(PHANToM2台)を用いた把持・到達運動計測装置を構築した.この装置を用いることにより,対象物の動特性を任意に設定したり,瞬時に変更したりできるようになり,様々な計測条件で把持・到達運動について計測できるようになった.この装置を用いて,最近提案されたGoodaleの行動・認知仮説の検証を行った結果,Goodaleの仮説が正しいとは言えないことを明らかにした. (2)対象物操作における把持力の生成 上述の把持・到達運動計測装置を用いて,人が様々な対象物を操作するときの把持力と負荷力について計測・解析した.この結果,対象物を精密把持(親指と指示指の指先でつまむこと)して持ち上げる運動において,運動開始から250[ms]付近までの把持力は主に計画されていることが明らかになった.さらに,250[ms]以降から体性感覚フィードバックにより把持力が修正され始めるが,そのゲインは非常に小さいことが明らかになった.この結果から,対象物を把持して持ち上げる運動において,把持力は主に計画されていると言える. (3)内部モデルと運動計画 視覚的予測の必要な視覚・運動課題において,視覚的予測に基づいて,運動環境(対象物)の動特性を考慮して,筋活動を開始するタイミングと屈筋と伸筋の同時活性化レベルを計画していることを実験的に確かめた.この結果は,繰り返し試行することにより運動環境の内部モデルを獲得し,その内部モデルを用いて運動計画していることを示唆している.
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