Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
検討途上にある水星探査機及び金星探査機への搭載を念頭に置いた、中間赤外線分光撮像装置の検討を行った。水星探査用の当初案は、10μm/30μmの熱測光と7-14μmの低波長分解能分光を含むものであったが、搭載機器重量制限から分光部搭載は断念している。しかし、将来利用を企図し本研究は当初構成に従い遂行した。1999年度の実績は以下の通りである。(1)中間赤外装置の光学設計:昨年行った全反射光学系の設計を基礎とした撮像/分光光学系を構築した。また、金星探査の必要に応じ、狭帯域広視野撮像を目的とした屈折光学系の設計を行った。(2)検出器の評価:1次元焦電アレイとサーモパイル単素子の性能検証を行い、予定する性能を出すための設計要素を確立した。これにより一部光学系の設計を見直すとともに、熱輻射や迷光の影響を抑制する冷却・バッフル・光変調の必要諸元をまとめた。(3)近赤外線による金星地上観測:岡山天体物理観測所において、近赤外線による金星の分光撮像を実施し、金星下層大気の情報を得られることを確認した。これは中間赤外観測によって得られる上層大気情報と相補的な位置を占めるもので、現在解析を継続中である。今後、以下の作業を継続して行う予定である。(1)2次元アレイの検討:検討してきた検出器では高時間分解能との両立は困難である。幸い二次元アレイ素子の入手目処が立ち、近日中に性能検証を行う。(2)校正法の検討:軽量校正手段の検討を早急に行う。(3)地球・月表面の遠隔テスト観測:上記検討終了後、地球及び月表面の熱測光・分光による性能検証を行いたい。(参考:笠羽康正、今村剛、高橋幸弘、坂野井健、「金星探査と"UV-VIS-IR分光撮像器"の技術検討」、電気関連学会北陸支部大会、富山大、1999年10月.)