Project/Area Number |
10750567
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
触媒・化学プロセス
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
礒田 隆聡 (磯一田 隆聡) 九州大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70284544)
|
Project Period (FY) |
1998 – 1999
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Keywords | ゼオライト / 水素化脱硫 / 分子軌道計算 / 分子動力学計算 / コンピュータケミストリー / 石油 / 触媒 / 超深脱 / 水素化分解 / 多環芳香族 |
Research Abstract |
軽油の超深度脱硫域(100ppm以下)では、4.6・ジメチルジベンゾチオフェン(4,6-DMDBT)に代表される難脱硫性硫黄化合物が対象となる。この基質では、S原子近傍に置換されたメチル基の立体障害のため、触媒活性点への接近が困難であり、反応性が極めて低いことが指摘されている。そこで、これに目標を絞った触媒設計が必要とされている。本研究では汎用触媒であるCoMo/Al_2O_3に、ゼオライトを物理混合することで、4,6-DMDBTの脱硫反応性は著しく促進することを見出した。ゼオライトはその固体酸性質により、4,6-DMDBTのメチル基の転位、あるいは脱メチルを促進し、S原子近傍の立体障害が解消された異性体を生成する。このような中間体を経由して脱硫が進行する、メチル基転位一脱硫経路を明らかにした。これら異性体の、S原子の電子軌道(Sσn)の触媒接触断面積と、脱硫の活性化エネルギーの関係を、分子軌道計算によって解析した。両者は良く相関し、脱硫反応性の促進機構を、反応速度解析と量子化学解析から定量的に証明できた。この二成分触媒では、CoMo触媒とY型ゼオライトの組み合せが最も脱硫効果が高い。アルキルDBT類はゼオライト細孔内での拡散速度が遅く、表面拡散が支配的であることが、分子動力学シュミレーションから明らかになった。Y型ゼオライトでは、粒子表面のケージ部の形状が、反応場として適しているものと推察した。 このような知見を基に、成形アルミナ担体表面に、均一にY型ゼオライトを薄膜化する方法を確立した。担体を高温焼成により、α-アルミナに一部相転位させた後、水熱合成法で調製できることが明らかになった。同時に、脱硫触媒として利用する場合の調製法を確立した。ここでは触媒の表面分析から、調製法の違いが活性金属分布を大きく変化させることが分かった。薄膜化ゼオライト/アルミナ担体を脱硫触媒として用いるには、(1)活性金属が均一に分布するよう、担持を2段階に分け、(2)水熱合成時に担体に残留するNaを、イオン交換処理で除去する等の工夫が必要であり、Co担持/プロトン型変換/Mo担持の順序で調製する方法が最も適していると結論した。以上本研究では、ゼオライト細孔内に拡散不可能な多環芳香族は、主に一次粒子表面が反応場であること、またその表面を高機能化させ、反応場として利用するための触媒調製が可能であることを見出した。
|