低温希ガスマトリックス単離法による次世代フロン化合物の反応性に関する研究
Project/Area Number |
10750596
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
工業物理化学
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
駒口 健治 広島大学, 工学部, 助手 (80291483)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ハロゲン化ジメチルエーテル / 脱プロトン反応 / 低温固相マトリックス単離法 / 電子スピン共鳴分光法 / 電子構造 / ヒドロ化フロン化合物 |
Research Abstract |
今年度は、代替フロン化合物として、ジメチルエーテル類化合物を取り上げ、カチオンラジカルの電子構造および反応性に及ぼすハロゲン導入効果についてESR法と非経験的分子軌道計算法による検討を行った。ジメチルエテールの水素原子を一個フッ素原子で置換したCH_3OCH_2F^+は、77Kで、14mT(^1Hx2)と3.5mT(^1Hx3)の超微細結合定数(hfs)からなるESRスペクトルを示す。一方、CH_3OCH_2Cl^+では、9.5mT(^1Hx2)によるhfsが観測できた。このことから、不対電子密度は、CH_3基よりもCH_2X(X=F,Cl)基の方が高く、その偏りは塩素よりもフッ素導入の方が大きいことがわかった。さらに、CH_3OCH_2Cl^+では、120Kでメチル基水素の脱プロトン反応が起こった。この脱プロトン反応は、CH_3OCHCl_2およびCH_3CH_2OCH_2Clにおいても確認できた。脱プロトン反応が位置選択的に起こる原因として、塩素原子導入により分子全体が大きく分極していることが考えられる。これらの実験結果は分子軌道計算結果からも定性的に支持された。 また、エーテル系化合物と同じく分子中に酸素を含む環状ケトン化合物(cC_nH_<2n>CO,n=3,4,5)カチオンラジカルをとりあげた。四員環と五員環および六員環とでは、不対電子軌道(SOMO)の交換交差が起こることを見出した。 希ガスマトリックス法の発展として、マトリックスに固体パラ水素を用いてNO_2分子の高分解能ESRスペクトルの観測に成功した。4.2K固体水素中でNO_2は、分子軸方向に回転かつ配向していることがわかった。今後は、次世代のフロン化合物とNO_2との反応性に関する研究を展開する。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)