Project/Area Number |
10750620
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 正人 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (20293037)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 一酸化二窒素 / 炭素一酸素結合生成反応 / シリルアセチレン / ジシリルケテン / パラジウム / 炭素一炭素結合生成反応 / トランスメタル化 / イノラート / 炭素酸素結合生成反応 / リチウムアセチリド / ケテン |
Research Abstract |
筆者は初年度に於いて一部のアルキニルリチウムが一酸化二窒素と反応してリチウムイノラートを与える反応を見いだし、この反応を利用してシリルアセチレン類からジシリルケテンを合成する手法を確立した。そこで本年度は得られたジシリルケテンの有機合成的利用を計ることを目的に研究を進めた結果、パラジウム触媒によるジシリルケテンの脱ケイ素アリル化反応を見いだした。即ち、種々のジシリルケテンが0価パラジウム錯体触媒存在下に酢酸アリル或いは炭酸アリル類と室温にて反応し、アリルシリルケテンを収率良く与えることが明らかとなった。この反応ではアリル化合物と0価パラジウム錯体より生じるπ-アリルパラジウム中間体とジシリルケテンがトランスメタル化を起こしてπ-アリルパラジウムイノラートを与え、これからアリルシリルケテンが生成するものと考えられる。また本反応では過剰量のアリル化合物を用いた場合でもジアリルケテンは得られないことから、トランスメタル化においてはケテンに結合した二つのケイ素基が重要であることが示唆された。この反応は、ケテン類のヘテロクムレン部位を損なうことなく新たに炭素一炭素結合生成反応を行う初めての例であり、また遷移金属イノラートを経由すると考えられる初めての合成反応であることから意義のあるものと考えられる。本研究を総括すると、一酸化二窒素の酸素原子を効率よく捕捉してジシリルケテンに導き、さらに近年合成中間体として注目を集めているモノシリルケテン類へのルートを切り拓いたことにより、一酸化二窒素の新たな有機合成的利用法が開拓できたものと考えられる。
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