錯体触媒による水の共存下でのジエンと一酸化炭素の新規な共重合反応
Project/Area Number |
10750625
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
張 世偉 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (60263323)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 錯体触媒 / ジエン / 一酸化炭素 / 共重合 |
Research Abstract |
ロジウム触媒を用いて水性ガスシフト反応条件下でノルボルナジエン誘導体、7-t-ブトキシノルボルナジエンを基質に用いた反応から、分子量24,500(分子量分布1.38)の共重合体が単離収率92%で得られた。この共重合体の正確なポリマー構造をIR,^1H,^<13>C NMRスペクトルおよび熱重量測定により同定した結果、ノルボルナジエン誘導体と一酸化炭素との1:1の交互共重合体のポリケトンであることがわかった。しかも、得られた共重合体はノルボルナジエン誘導体の片方の二重結合が完全に残ったままの構造を持つものであった。そこで、この共重合体との臭素との反応を行い、臭素の付加物であるジブロモポリケトンを良好な収率で得た。また、カルボニル化合物の水素化に有効な試薬LiAlH_4を用い共重合体との反応を試みた結果、水素化反応は完全に進行し、ポリケトンが対応するポリアルコールに変換された。このように化学反応性からポリマーの構造を再確認すると同時に、他の官能基を持つポリマーへの誘導もできた。続いて、本反応の適用範囲について検討するためノルボルナジエンまたは別途調製した数種類の置換ノルボルナジエン誘導体を用いて本反応条件下で一酸化炭素との共重合について検討を加えた。その結果、何れも共重合反応が進行した。例えば、7-フィエニルノルボルナジエンおよび2,3-置換体ノルボルナジエンを用いた場合も相当する共重合体が良好な収率で得られた。しかしながら、本反応条件下では2、3-置換体ノルボルナジエンからは低分子量の共重合体しか得られなかった。そこで、この低分子量の共重合体を用いて構造解明に努めたところ、共重合体の末端部位の構造はラクトン骨格を有する可能性が高いと推定された。一方、ノルボルネンおよびノルボルネン誘導体も本反応条件下で一酸化炭素と共重合し、相当する低分子量のポリケトンが良い収率で得られた。特にノルボルネンからは主生成物として共二量体が得られ、γ-不飽和ラクトン骨格を持つものであることを確認した。更に本共重合反応は水とアミンを添加しない場合には全く進行しないことから、ロジウムカルボニルと水/アミンとの反応にから発生したロジウムヒトリド種が開始剤として作用している可能性が高いと考えられる。これらの実験事実に基づき、本共重合反応の反応機構を推定することができた。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)