Project/Area Number |
10750629
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Synthetic chemistry
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
坂本 康治 理化学研究所, 有機合成化学研究室, 研究員 (60280723)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | ビシクロオキソニウムイオン / 環拡大反応 / 中員環エーテル / 隣接基関与 / クロロメチルスルホニル |
Research Abstract |
本環拡大反応を用いた中員環エーテルの合成では、エーテル酸素の隣接基関与によるビシクロオキソニウムイオンの生成、およびこのイオンに対する位置・立体選択的な求核剤の反応が不可欠である。前年度は、クロロメチルスルホニルオキシ基を脱離基とすることでビシクロ[3.3.0]型オキソニウムイオンが生成し、求核剤(H_2O)と位置選択的に反応して8員環エーテルの合成に成功した。本年度は、本環拡大反応の立体選択性について検討した。 反応基質として2-(3-スルホニルオキシブチル)テトラヒドロピランの2種の立体異性体を合成し、前年度見いだした反応条件を用いてそれぞれ環拡大反応を行なったところ、いずれの立体異性体からも8員環エーテルが立体選択的に得られた。この結果から本環拡大反応の機構は、クロロメチルスルホニルオキシ基の脱離とともにエーテル酸素が立体反転で隣接基関与し、生成したビシクロオキソニウムイオンヘの求核剤の反応も立体反転で起こるというものであり、よって本反応は全体として立体保持で、かつ立体特異的に進行することを明らかにすることができた。 次に2-(3-スルホニルオキシブチル)-5-メチルテトラヒドロピランの2種の立体異性体を合成し、同条件下で反応させた。2,5-trans体からはcis-2,8-ジメチル-5-ヒドロキシオキソカン(8員環エーテル)を立体選択的に合成することができたのに対し、2,5-cis体からは環拡大反応が進行しなかった。この結果から、置換基の立体配置によっては立体障害によりビシクロオキソニウムイオンを生成できない場合があることを明らかにすることができた。 さらに上記の結果に基づき、2-(3-スルホニルオキシノナニル)-5-エチルテトラヒドロピランを合成して環拡大反応を行なうことにより、天然物laurencinの基本骨格であるhydroxylauthisanを合成することに成功した。
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