X線回折法によるセルロースI_α→I_β転移過程のin situ観察とその機構解明
Project/Area Number |
10760105
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
林産学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 昌久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (40270897)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1998: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Keywords | セルロース / X線回折 / 相転移 / セルロースI_α / セルロースIII_I / セルロースI_β / 熱膨張 / セルロースI_a / セルロースI_b |
Research Abstract |
セルロースI_αは、セルロースIII_Iを経てI_βに転移することが知られている。本研究では、不活性ガス中での熱処理によりセルロースIII_IがI_βへ転移することを明らかにしたので、さらにその転移の過程をDSCとX線回折によって直接観察することとした。 まず、I_α成分を多く含む高結晶性のシオグサセルロースを超臨界アンモニア流体にて処理し、高結晶性のセルロースIII_I試料を作製した。そして、高結晶性セルロースIII_Iを220℃で熱処理したところ、セルロースI_βに転移することがFT-IRとX線回折によって明らかになった。通常、高温水蒸気中でセルロースIII_Iを処理するとセルロースI_βへ転移するといわれていたが、本研究では、単純な加熱によってIII_IがI_βへ転移することを明らかにした。 ただ熱のみによってセルロースIII_IがI_βへ転移するということは、物理的な機器による転移のモニタリングが可能であることを示唆している。そこで、DSCとX線回折による転移過程のモニタリングを行うこととした。DSCでは、昇温過程において200℃に2次の相転移に相当する吸熱ピークが観察された。これは、セルロースIII_IからI_βへの転移にともなう水素結合の再配列によるものと思われる。次に昇温過程のX線回折を行った。その結果、200℃から217℃でセルロースIII_Iが中間構造などを経ることなく直接I_βへ転移することが明らかになった。そしてこの転移の機構として、セルロースIII_Iがシート構造を保持したままI_βへ転移するというモデルを提案した。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)