Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
鹿児島湾は大陸棚〜陸棚縁辺性の種と,サルエビ,トラエビ等の浅海内湾性の甲殻類が混在する興味深い水域である。今年度は,同湾における浅海性甲殻類の生活史の解明の第一段階として,有用種の一つであるサルエビの個体群動態の解明を目的とした。 本種は水深50m以浅の砂泥底に棲息するクルマエビ科の種であるが,鹿児島湾では水深100m内外で本種を主対象とした漁場が形成されており,さらに200m以深にも棲息している。西桜島水道北部の本種主漁場(水深100〜140m)をSite A,湾中央部(水深180〜242m)をSite Bとし,これら2カ所で毎月底曳網による標本採集を行った。標本は10%ホルマリンで固定後,体サイズの測定を行った。また,卵巣はパラフィン包埋の後ミクロトームを用いて薄層切片を作成し,H-E染色後生物顕微鏡で観察を行った。 得られた標本の測定値をもとにサイズ組成の時系列を作成したところ,8月に頭胸甲長8mm前後で加入し,翌年の冬までに死亡することがわかった。成長は雄よりも雌の方が顕著に良かった。各個体の卵巣の組織学的観察および生殖腺指数(100×卵巣重量/体重)の検討により,卵黄球期の卵を有する卵巣を持ち,生殖腺指数が7以上の個体を成熟個体とした。成熟個体はSite Aでは6〜11月に出現したが,Site Bでは6〜8月に極少数しか出現しなかった。このことより,Site Bの分布は他の水域からの補給により実現しているものと思われる。これが死滅回遊か補給元に産卵回帰するのかについては興味深い将来的課題の一つである。
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