海産頭足類スルメイカ鰓組織に局在する塩濃度依存型トランスグルタミナーゼの生理機能
Project/Area Number |
10760122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fisheries chemistry
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
埜澤 尚範 北海道大学, 水産学部, 助手 (20221484)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 組織型トランスグルタミナーゼ / スルメイカ / 中性塩類活性型 / 創傷治癒 / 海洋無セキツイ動物 / 軟体動物頭足類 / 架橋重合タンパク質 / 比較酵素化学 |
Research Abstract |
1.本酵素の生体内における真の基質の検索と同定……昨年度に引き続き、スルメイカ鰓組織トランスグルタミナーゼの生体内基質の探索を行った。すなわち、エラ組織全体をホモジネートし、蛍光性アミンであるMDC共存下で、トランスグルタミナーゼ反応を行い、取り込み反応に預かったイカ鰓組織のタンパク質を10%および3%ゲルを用いて電気泳動分析した結果、MDCの取り込みは、濃縮ゲルに入らない成分、分離ゲルに入らない成分に強く取り込まれており、ついで、200kDa,180kDa,100kDaの各タンパク質バンドに取り込まれていた。すなわちこれらが生体内の基質であると推定された。鰓タンパク質の主成分は、200kDaおよび40kDa成分であり、180kDaと100kDaのタンパク質は特に、酵素との親和性が高いと考えられた。ついで、MDC非存在下で架橋重合反応を行うと、180kDaと100kDa成分が架橋の進行とともに減少しており、この両成分が生体内の基質であると推定された。 2.酵素の発現調節……イカ鰓組織の発現レベルを解析するに先立ち、酵素活性の変動を調べた結果、活性はイカの状態によらずほぼ一定レベルであった。この結果、本酵素は、刺激に応じて、遺伝子が活性化され発現する可能性は少なく、むしろ始めから損傷に対する備えとして組織内に蓄えられていると考えられた。すなわち、本酵素は遺伝子発現レベルでの調節は受けていないと考えられる。ただし、遺伝子レベルの解析については今後、更に詳細な検討が必要であると思われる(継続する予定)。 3.酵素の生理機能に関する総合考察……イカ鰓トランスグルタミナーゼは、海水程度の0.5M Na Cl、10mM Ca Cl_2によって著しく活性化し、鰓組織のタンパク質を、短時間に高度に架橋重合させた。鰓は常に海水や血液などの外的環境に晒されており、本酵素は、創傷時に組織に流入した塩によって活性化することで、血液凝固系を持たない海産軟体動物の止血因子として機能している可能性が非常に高いと考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)