Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
当初の計画通り,昨年度の現地ヒアリングを踏まえ,肥料補助金削減がインド穀物市場に及ぼす影響に関する分析を,精緻化した。特に,米と小麦で買い上げの形態が異なることを厳密に定式化した点,そして生産者余剰の観点から,買い上げを受ける先進地域の生産者と買い上げを受けない後進地域の生産者の厚生の格差が,肥料補助金の削減によって増大することを明確に示した点が,大きな改善点となる。後者の点は,これまで,肥料などの経常財補助金の存在は,階層間・規模間の厚生に対して非中立的な影響を及ぼす,いわゆる分割可能な形態の政府介入として知られてきた。この文脈では,肥料補助金の削減は,所得分配を改善することになるが,自身の分析は,インドの買い上げ制度の存在によって肥料補助金の削減がかえって地域間・階層間格差を生み出すことを示した点に大きな貢献があると考えている。この分析は,Japanese Journal of Rural Economicsに掲載が決定している。 これに加えて,インド農業の投資に関する分析にも着手した。これは,未だ完成されたものではないが,最適成長問題として動学的なアプローチを試みている。特に,上記のような経常財への補助によって投資経路がどのように変化するかについて,現実の投資の推移を説明できるようなモデルにすることに挑戦している。また,投資を公共投資・民間投資の2種類にわけ,財政上観点から公共投資と経常財補助金との関連を明示したいと考えている。いまのところは,経常財への補助が,一時的には民間投資を刺激すると考えているが,公共投資との関連ははっきりした結論は出ておらず,今後の課題となろう。いずれにせよ,買い上げの形態や肥料への補助および公共投資の重要性から日本農業の発展の経験を検証することが可能になると考えている。
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