Project/Area Number |
10760181
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Applied veterinary science
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
萩原 克郎 酪農学園大学, 獣医学部, 講師 (50295896)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | ボルナ病ウイルス / ウマ / サイトカイン / 垂直感染 |
Research Abstract |
本年度は昨年度に引き続き、ボルナ病ウイルス(BDV)の疫学調査、特に様々な疾病に罹患し病理解剖に付された馬138頭について抗体陽性率と疾病分類を調査した。まず始めに、ウエスタンブロット法による血清中BDV-p40とp24に対する抗体検査を行なった。その結果、病理解剖馬の陽性率は、BDV-p40 28.3%(39/138)、BDV-p24 14.4%(20/138)、両抗原に対して10.9%(15/138)が陽性であった。その疾病別内訳は、運動器疾患馬でBDV-p40 43.6%(17/39)、BDV-p24 45.0%(9/20)、神経系疾患でBDV-p40 12.8%(5/39)、BDV-p24 15.0%(3/20)、消化器系疾患で、BDV-p40 23.1%(9/39)、BVD-p24 15.0%(3/20)、その他の疾患では、BDV-p40 20.5%(8/39)、BDV-p24 25.0%(5/20)を示し、p-40,24いずれの抗原に対しても運動器疾患馬で40%以上の陽性率が認められた。さらに、顕著な歩行異常を呈した一例の脳内BDV-RNA(p24)検出をRT nested-PCR法で行った結果、脳内の数箇所からBDV-p24が増幅され、ISH及びIHCによる組織内のBDV-RNA、抗原検索により脳神経細胞にBDV陽性シグナルが同一部位で認められた。そこで、脳内抗原陽性部位におけるIL-4、IL-10、IL-12、TNF-α及びINF-γのmRNA遺伝子発現をRT-PCR法で調べた結果、非感染個体の同一部位と比較して抗原陽性部位におけるTNF-αとIFN-γ mRNA遺伝子発現が亢進していた。一方、IL-12 mRNA遺伝子の発現は、BDV陰性個体で発現レベルが増加していた。また、IL-4とIL-10mRNA発現は、BDV感染の有無にかかわらず認められなかった。一般的に、TNF-αは、アストロサイトやミクログリアから産生されオリゴデンドロサイトに傷害性に働き、炎症性脱髄のエフェクターと考えられ、アストロサイトにMHC class I抗原を誘導する。IFN-γはオリゴデンドロサイトにMHC class I抗原を誘導することが知られ、その結果細胞傷害性T細胞の標的になる。本症例は、BDVの感染と脱髄、神経食現象が観察されていることから、上記のサイトカインが関与していることが示唆され、BDVの発症にこれらサイトカインの産生が引き金になっている可能性があり、BDV感染とサイトカイン産生の関係について詳細な研究が必要と思われる。
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