Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
川崎病血管炎の特徴を検討するため、冠状動脈病変局所の浸潤細胞の詳細について免疫組織学的検討を試みた。【材料と方法】11急性期川崎病剖検例(6〜50病日)を検索対象とした。冠状動脈のホルマリン固定パラフィン包埋薄切切片に対しHE,EvG,AM,Al-B各染色と共に各種抗体(CD45,CD45RO,CD20cy,CD3,CD4,CD5,CD8,HAM56,CD68,elastase,HLA-DR)を用い免疫組織学的検索を加えた。【結果】6病日例の冠状動脈には内膜炎および外膜炎をみたが、中膜に炎症細胞を見いだせなかった。汎血管炎を生じていたが瘤の形成がない10病日例の中膜平滑筋層内には抗elastase抗体陽性の好中球の集簇巣を確認し得た。好中球浸潤はこの10病日例で最も強く経時的に減少していった。一方、CD68陽性マクロファージは17病日をピークとしたが、全例で強い浸潤がみられた。他、CD3陽性Tリンパ球は17病日を極期とし以後漸減していた。さらに、病初期にはCD4陽性リンパ球が優位であったのに対し20病日を過ぎる頃からCD8陽性リンパ球が相対的に優位を占めた。一方、CD20陽性Bリンパ球も17病日を極期としたがその後急減していた。また、免疫グロブリン投与歴の有無でCD20陽性細胞の浸潤程度に差があるように思われた。HLA-DRは6〜32病日例の大単核細胞、リンパ球、心内膜および筋層内小動脈の内皮細胞に陽性像を示した。【考察】川崎病血管炎の特徴は増殖性肉芽腫性炎症と表現し得るマクロファージの集積にあり、T細胞優位のリンパ球を混ずる。しかし、病初期には相当数の好中球浸潤も確認でき、動脈炎から動脈瘤形成に至る動脈組織障害には同細胞の関与も示唆された。さらに、免疫グロブリンとB細胞浸潤との関連について言及された報告はこれまでにない。尚、ISH法を用い数種のウイルスの検索を行ったが、現在迄に有意な所見を得ていない。
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