Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
癌遺伝子産物CrkのSH3領域に結合するDock180蛋白の機能解析を行った。DOCK180はC末側にCrk結合領域をN末側にSH3領域を有するものの、それ以外には明らかなドメインを有さず、その生化学的機能は不明である。われわれは、Crkなどのアダプター分子が細胞質内の酵素を細胞膜近傍に局在を変化させることにより情報伝達を司るということを見出しており、このことを利用してDOCK180の機能解析を行った。すなわち、DOCK180のカルボキシル末端側にファルネシル基付加シグナルをつけ、これによりDOCK180をCrk非依存性に細胞膜へ移行できるようにした。その結果、DOCK180が細胞膜へ移行すると、NIH 3T3細胞の偏平化を誘導することを見出した。この細胞の偏平化は低分子量GTP結合蛋白RacとCdc42の活性化型を導入した細胞の形態と非常に類似していた。しかも、DOCK180はRacやCdc42同様にJun Kinase(JNK)を活性化した。また、優勢劣性型RacやCdc42はDOCK180によるJNK活性化を阻害した。さらに、DOCK180を共発現するとPacのGTP型が著明に増加することがわかり、DOCK180はRaCの上流制御因子であることが明らかになった。さらに、我々はDOCK180がRacにEDTA存在下においてのみRacに結合することを見出した。このことは、ヌクレオチドに結合していないRacのみがDOCK180に結合することを示しており、DOCK180が直接にPacを活性化することが強く示唆された。4
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