Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究では,騒音による聴力損失に関して,内耳有毛細胞の配列とその音への反応,騒音による損傷の程度を数学的にモデル化し,任意の騒音曝露による聴力損失をリアルタイムで表示可能な,聴力損失メータの開発を試みた。 1.内耳有毛細胞の音に対する反応に関してモデル化を行った。内耳には各種の反応閾値レベルを持つ細胞が存在し,閾値を超える音刺激に対して,常に反応閾値レベルの音響エネルギーと等価な出力を上位神経系に出力するとした。また,最終的な聴感レベルは全細胞からの出力の和に比例するとした。 2.音による有毛細胞の損傷および回復を微分方程式で表した。反応閾値の等しい細胞ごとに,一定の値を超える音によって,単位時間あたり一定の比率で損傷を受け,曝露音のレベル上昇に伴ってその比率が高くなるとした。また,それ以下の曝露音では,損傷を受けた細胞が一定の比率で回復すると仮定した。 3.最終的なモデルは,定常音による曝露など簡単な条件下においては,NITTS(一時的な騒音性聴力損失)を陽表示可能である。モデル中の各パラメータについては,既存の実験結果などに基づいて,非線形回復分析により,その値を決定した。 4.任意の変動騒音によるNITTSを推定することのできる,聴力損失メータのソフトウエアを試作した。各種変動騒音を用いた既存の実験結果との対応を検討したところ,実用上十分な精度が得られた。従来のNITTSの推定式は,任意の変動騒音には適用できないものが多く,適用可能な式についても実時間での計算処理は困難であった。今回,導いた推定手法は,非常に簡便な計算手順でNITTSの時々刻々の変化を推定可能であり,有毛細胞の損傷・回復をモデル化していることから,従来の推定式よりも適応範囲が広いと考えられる。また,リクルートメント現象を説明できるという特徴も備えている。
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