熱ショック蛋白と心臓性突然死:死因としてのストレス応答異常機構の解析
Project/Area Number |
10770195
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Legal medicine
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
西尾 元 大阪医科大学, 医学部, 講師 (90253260)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 心臓性突然死 / ストレス蛋白質 / 心筋肥大 / Dahlラット / 熱ショック蛋白 / ストレス |
Research Abstract |
本研究では、ストレス応答異常が心臓性突然死の原因ではないかとの仮説をたて、心臓性突然死の危険因子として知られている肥大心筋におけるストレス蛋白質(HSP蛋白質)の発現を検討した。 心筋の肥大をおこし突然死する実験モデル動物であるDahl Sラットを使いそのコントロールラットであるDahl Rラットとの間でHSP蛋白質の発現量をWestern blot法により比較検討した。心筋全体を用いたWestern blot法では両者の間でHSP90、HSP70、HSP72の発現量の差異は観察されなかった。しかしながら、HSP90に関してはDahl Sラットの左室中隔部分でその発現がやや減少していることを示す結果を得た。 剖検により心臓性突然死をきたしたと考えられる症例の心筋を用いて同様の実験を行った。HSP90の発現量が突然死をきたしたラットの心筋左室中隔部分で減少していたことからこれについて検討したが、コントロールの心筋と比較して明確な差は検出されなかった。HSP70、HSP72の発現量を同様に検討したが発現量の差異は観察されなかった。剖検によって得られた心筋では死後変化などの要素によりHSPの発現量の変化が検出されなかった可能性があるものと考えられる。 これらの結果は、ストレス蛋白質のうち特にHSP90についてはその発現量の低下が肥大心筋にみられたことから心臓性突然死との関連が考えられた。しかしながら、実際の剖検心筋についてはその低下は観察されず、さらに検討が必要と思われた。今回我々は心筋そのものを対象としたが、心臓性突然死を未然に予防するといった見地からは、心のう内液や血液といったサンプル中でストレス応答異常を示す分子マーカーの同定が有効と考えられるが、それを可能とするためには心筋細胞内のストレス応答に開する伝達機構の解析が必要と思われた。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)