Project/Area Number |
10770239
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Gastroenterology
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小西 英幸 京都府立医科大学, 医学部, 助手 (30295670)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 大腸腫瘍 / COX-2 / 化学予防 / p53蛋白 / 核DNA量 |
Research Abstract |
大腸癌の発生機序として、従来から腺腫共存の有無を分けて論ぜられるが、それぞれが異なる進展経路を示すかは明らかでない。一方、大腸癌の化学予防にcyclo-oxygenase isoform-2(COX-2)選択的阻害剤の効果が注目され、その作用機序としてアポトーシスの誘導が推測されている。そこで、大腸腫瘍(腺腫及び早期癌)標本を用いてCOX-2免疫染色を施行し、腫瘍の病理学的特徴、p53蛋白過剰発現、核DNA量との関係につき検討した。また、Western blottingで腫瘍内のCOX-2蛋白発現の有無を検討した。loss of heterozygosity(LOH)とmicrosatelliteの解析から、今回用いた症例に明らかなreplication error(RER)を示す症例は含まなかった。 COX-2蛋白は、正常上皮ならびに腫瘍径の小さい腺腫では陰性であったが、径の増大に伴い陽性を、また癌においては大部分が陽性を示し、特に腫瘍先進部においてより強陽性となった。しかし、COX-2蛋白の発現と癌の腺腫共存の有無に相関は認めなかった。細胞増殖能とアポトーシスの検討では、癌部では細胞増殖とアポトーシスのアンバランスを認めたが、COX-2蛋白がこれらと直接関与している可能性は低いと考えられた。一方、p53蛋白過剰発現はアポトーシスと有意な逆相関を示したが、COX-2蛋白の発現との間に相関は無かった。また核DNA量は、癌部でのみ腺腫の有無に関わらずanueploidyを示す症例が大部分で、これもCOX-2蛋白の発現と相関は無かった。 以上から、COX-2蛋白は大腸癌発生の早期から関与していることが明らかとなったが、大腸癌発生・進展における役割については明らかとならなかった。また、COX-2選択的阻害剤の有する大腸癌発生の化学予防作用は、効果の期待できる治療法ながら、その作用機序を解明するには今後の検討が必要と考えられた。 これらの結果は、第41回日本消化器病学会大会、第85及び86回日本消化器病学会総会ならびに第99回日本癌学会総会で発表し、現在論文作成・投稿中である。
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