Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
平成10年度に単離した、マウス純系129sv系統のG蛋白_2サブユニット遺伝子を含むゲノムDNA断片を用いて、相同領域の長さや薬剤選択カセットの種類、および相同組換え体選別手段の異なる各種の遺伝子標的破壊ベクターを構築した後、それらについて各々の組換え体生成効率および選別効率に関する評価実験を行った。その結果、相同領域として5ユ側約5.5Kb、3ユ側約3.5Kbを含み、薬剤選択カセットとしてPGKプロモーターによるネオマイシンカセットをpoly Aシグナル付きで挿入、またスクリーニング手段としてはサザンブロッティングを用いるベクターが、本研究に最も適しているものと考えられた。このベクターを129sv系統由来ES細胞であるESVJ-1183細胞に導入し、5ユ末プローブ、3ユ末プローブおよびネオマイシン耐性遺伝子特異的プローブを用いたサザンブロッティングによる相同組換え体の選別、および組み換えクローンのC57BL/6マウス由来胚盤胞へのインジェクションによるキメラマウス作成に着手した。本報告書作成時点でヘテロ接合体変異マウスの作成は未完了であるが、引き続き良好な相同組換え体ES細胞の単離およびES細胞寄与率の高いキメラマウス作成を継続し、それらの交配からヘテロ接合体およびホモ接合体変異マウスを作成して解析を進める予定である。なお、単離した129sv系統ゲノムDNA断片の解析から、マウスG_2遺伝子の全構造が明らかになった。すなわち、本遺伝子は1つの5ユ非翻訳エキソンを含む全10エキソンからなり、9つのコーディングエキソンは約2.4Kbの範囲に分散している。エキソン1上流のプロモーター領域および他のシス作用性エレメントに関しては、単離したゲノムDNA断片を試料として、目下解析を進めている。