Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
Angelman症候群(AS)の発症機序を理解するために、原因遺伝子であるubiquitin protein ligase遺伝子(UBE3A)の変異解析を行った。全国から集積したAS患者82名を対象として、系統的な分子遺伝学的診断を行った。解析には、私たちが開発したPCRメチル化テストを中心とする方法を用いて実施した。UBE3A遺伝子の変異解析はPCR-SSCP方に加えて、直接シークエンス法を用いて実施し、解析の精度を高めた。その結果、父性片親性ダイソミー1例、刷り込み変異例4例を本研究において同定することができた。UBE3A遺伝子に変異を有する患者は同定されなかった。本研究におけるAS多数例の解析により、AS患者において、UBE3A遺伝子変異が原因である例は非常に少ないことが明らかになった。むしろ、片親性ダイソミーや刷り込み変異例の方が多かった。これらの結果は遺伝相談を行う上で、重要である。さらに、本研究における患者の集積に伴い、稀な合併症を有する患者を同定した。ASに眼皮膚白皮症2型(OCA2)を合併した例を経験し、OCA2の原因遺伝子であるP遺伝子の変異解析を行った。その結果、P遺伝子に変異を同定し、ASの低色素症の発症にP遺伝子が関与している可能性を示した。また、分子遺伝学的方法論は臨床的には異なった疾患である、Prader-Willi症候群(PWS)にも応用することが可能であった。PWS患者の集積に伴い、稀な、染色体異常を有する例を経験し、報告した。このように、ASとPWSとに対する系統的な分子遺伝学的診断方法を確立し、有用性を明らかにした。
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