精神分裂病動物モデルとしての嗅内皮質傷害ラットにおける行動薬理学的検討
Project/Area Number |
10770475
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Psychiatric science
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
住吉 太幹 富山医科薬科大学, 附属病院, 助手 (80286062)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥200,000 (Direct Cost: ¥200,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 精神分裂病 / モデル動物 / ラット / ドーパミン / 嗅内皮質 / 運動量 / 常同行動 / 陽性症状 |
Research Abstract |
ヒト左側海馬傍回に対応する左側嗅内皮質をキノリン酸で破壊した嗅内皮質破壊ラットの精神分裂病(分裂病)モデルとしての妥当性を検証すべく、ドーパミン(DA)神経伝達系に関連した行動薬理学的変化、すなわち探索運動量、DAアゴニスト誘発性移所運動量および常同行動を同モデルラットにて検討した。方法として、生後7週齢雄性ウィスターラットの左側嗅内皮質にキノリン酸(75nmole/0.5μlリン酸緩衝液に溶解;傷害群)、あるいは0.5μlリン酸緩衝液のみ(対照群)を注入した。術後2および4週にこれらのラットのオープンフィールド暴露による探索運動量、ならびにDA releaserであるmethamphetamine(MAP;1.0mg/kg,IP)誘発性移所運動量および常同行動を測定した。行動測定後、断頭にて脳を摘出し、Nissl染色標本を作成し、組織学的に嗅内皮質の破壊を確認できたラットおよび対照ラットにて、上記のDA神経伝達関連行動の出現量の比較を行った。結果として、傷害群(n=23)の左側嗅内皮質では神経細胞の脱落、グリア細胞の増殖を認めた。術後2週においては傷害群の探索運動量はおよび対照群(n=18)と比較して有意な変化は認められなかったが、術後4週においては傷害群の探索運動量は増強される傾向が認められた(P=0.06)。傷害群のMAP誘発性移所運動量は対照群と比較して、術後2週においては有意な変化は認められなかったが、術後4週において有意に増強された(P=0.02)。なお、MAP誘発性常同行動については、Costall's scale(1972),sniffing,head movement,vertical movement(Ujike et al.1990)のいずれの指標についても、術後2および4週において傷害による有意な変化は認められなかった。以上の結果は、ストレスに対する中脳辺縁系DA活動の反応性が、思春期に左側嗅内皮質破壊を受けたラットにおいて増強されることを示すものであり、DA伝達異常が示唆されている精神疾患における精神病症状発現の病態解明に有用であると考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)