Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
ヒト腎組織における転写因子NFκBの動態を,in situ Southwestern法を用いて検討した.使用したヒト腎組織は,無固定の凍結切片である.コントロール症例は,移植腎の1hr biopsy,軽徴な検尿異常で腎生検上minor glomerular abnormalityの像を呈した症例,腎細胞癌のため腎摘となった腎臓の健常部とした.移植腎では,シクロスポリン腎障害例および急性拒絶反応症例を検索対象とした. コントロールとした3つの症例では,いずれも同様の所見を呈した.すなわち,糸球体では上皮細胞の核と細胞質,ボーマン嚢上皮細胞の核,一部の内皮細胞とメサンギウム細胞の核に陽性所見が認められた.尿細管では,遠位・近位共に多くの尿細管上皮細胞の核に染色性がみられた.血管では,血管内皮細胞の核と一部の中膜平滑筋細胞の核に陽性所見を認めた. シクロスポリン腎毒性では,全体としてはコントロール群と差を認めなかった.症例によっては陽性細胞の減少が見られたが,特異性はみられなかった.急性拒絶反応症例においては,コントロールの染色にパターンに加え,一部の症例で尿細管上皮細胞における陽性細胞の増加がみられた.また,浸潤細胞においても陽性像がみられた. このことから,急性拒絶反応時には転写因子の活性化がおこっていることが示唆された.しかし,これが急性拒絶反応の原因であるのか,あるいは結果であるのかは不明である.今後は,他のサイトカインの動態などを同時に検討していく必要がある.また,慢性拒絶反応時における転写因子の活性化についても,今後検討が必要と思われる.
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