Research Abstract |
妊娠32例,即ち初期自然流産例8例(A群),母体保護法に基く初期人工流産例8例(B群),早産例4例(C群),満期分娩例12例(D群)を対象とした。対象の子宮脱落膜を細切し,メッシュ濾過および比重遠心法にて分離されたリンパ球をCD3,CD45,CD56またはCD57に対する蛍光抗体で標識,その後フローサイトメトリーを用いて全T細胞中に占めるCD56^+CD3^+T細胞およびCD57^+CD3^+T細胞(胸腺外分化T細胞のsubset)の割合を解析し,4群間で比較した。また対象のうち妊娠後期に分娩に至った16例において,過数相当の体重の児を得た14例(AGA群)と子宮内胎児発育遅延の2例(IUGR群)の間で同様の比較を行った。 その結果,脱落膜中のCD57^+CD3^+T細胞はA群で23.0±5.2%,B群で18.7±2.2%,C群で20.9±4.6%,D群で21.9±8.1%であり,A群はB群に比べ有意に高い割合を示した。CD56^+CD3^+T細胞はA群で21.4±18.0%,B群で15.6±10.9%,C群で11.0±2.4%,D群で11.5±3.2%であり4群間で有意差は認められなかった。またAGA群とIUGR群との比較では,CD57^+CD3^+T細胞においてはAGA群23.0±7.7%,IUGR群18.3±6.1%で両群間で有意差は認められず,CD56^+CD3^+T細胞においてはAGA群11.0±2.9%,IUGR群13.2±1.1%で同じく有意差が認められなかった。 以上の結果より,CD57^+CD3^+胸腺外分化T細胞が自然流産に関与する可能性が示唆された。
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