Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
滲出性中耳炎の病因は、ウイルスや細菌などによる中耳への感染、アレルギー、耳管機能不全などが考えられている。最近、ガス状ラディカルであるNO(一酸化窒素)の生体に対する多様な働きが注目されており、滲出性中耳炎の病態にもなんらかの関与が考えられる。これを明らかにするために、まず、モルモットを用いて滲出性中耳炎モデルを作製した。このモルモットの中耳滲出液を採取し、NO及びロイコトリエンの量を計測した。さらに、このモルモット中耳腔内に同時にL-NAMEを投与し、滲出液の量や、滲出液中のNOの濃度等を計測しているが、個体により、ばらつきがあり、さらなる検討が必要である。このモルモット中耳粘膜でのiNOSメッセンジャーRNAの発現を正常なモルモット中耳粘膜と比較検討している。次に、モルモットの中耳粘膜を生きたままの状態で取り出し、ビデオ強化式顕微鏡法を用いて、中耳粘膜杯細胞からの開口分泌反応を1つ1つ数えることにより、粘液分泌を定量化し、その第一歩として、各種ニューロペプタイドの影響やNO発生剤であるNOCの杯細胞分泌に対する影響を検討中である。これまでの検討では、この中耳杯細胞の分泌はNK1レセプターを刺激すると亢進し、NOCも多少分泌を亢進する。現在、このNOCによる分泌亢進反応がNOによる直接作用か、NK1レセプターを介した、あるいは他のニューロペプタイドを介した作用なのかを明らかにするため実験を継続中である。