一側反回神経麻痺に対する声帯内注入物質の開発に関する実験的・組織学的研究
Project/Area Number |
10770917
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Otorhinolaryngology
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
梅野 博仁 久留米大学, 医学部, 講師 (40203583)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 声帯内注入 / フィブリン糊 / 水酸化アパタイト / 組織反応 |
Research Abstract |
一側反回神経麻痺などの声門閉鎖不全に起因する誤嚥や発生障害に対して、声帯内注入は外来で行なえる簡便で極めて有効な治療法の一つである。しかし、声帯内注入の物質として現在理想的といえるものはなく、その開発がまたれている。そこで、我々は新しい声帯内注入物質として、粉末状の水酸化アパタイト(以下アパタイトと省略)とフィブリン糊の混合物を成犬の声帯内に注入し、その安全性と有用性を確認した。アパタイト顆粒の粒子の直径が20μmと40μmのアパタイト顆粒を作製した。声帯内注入から1カ月後と3カ月後に成犬の喉頭を摘出し、喉頭の前額断切片を作製した後、光学顕微鏡下に組織反応を検討した。声帯内注入後1カ月、3カ月ともに、径20μmと40μmの注入されていたアパタイト塊はどちらも薄い線維性の被膜に被われ、注入部位に安定して存在していた。さらに、個々のアパタイト顆粒間は線維細胞にその周囲を被われるように固定され、アパタイト顆粒はアパタイト塊の中で均一に分散していた。フィブリン糊は完全に生体内に吸収された。径40μmのアパタイト顆粒でもマクロファージを多数認めたが、径20μmのアパタイト顆粒よりマクロファージに貧食されず、より安定した状態で注入部位に存在していた。このことから、フィブリン糊とアパタイトの混合物は声帯内注射に用いる物質として有用であると考えれれた。以後、一側反回神経麻痺のある5人の患者にフィブリン糊とアパタイトの混合物を声帯内に注射した。その結果、全員が注入直後は声門閉鎖不全と音声は改善したが、注入後3日目までに声門間隙が再度増大し、充分な注入効果が得られなかった。これは、注入したフィブリン糊が吸収されたために全体のボリュームが減少したためと考えられた。今後、声帯内注入を行うには更なる考慮が必要と考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)