Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本研究では,1)リンパ球に発現するムスカリンおよびニコチン受容体,2)ムスカリン受容体刺激による細胞内カルシウムシグナリング機構と転写調節因子c-fos活性化について検討した.実験材料として種々のヒト白血病細胞株およびヒト末梢血より調製した単核白血球を用いた. 1)アセチルコリン受容体の解析:reverse transcription-polymerase chain reaction法により解析した.調べたすべてのTおよびB細胞系細胞株,さらに末梢血単核白血球において,ムスカリンおよびニコチン受容体遺伝子が発現していた.2)共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いた細胞内遊離カルシウムイオン動態の解析:カルシウム感受性蛍光色素をT細胞系細胞株CEMおよびB細胞系細胞株Daudiに負荷した後,スライドグラス上に固定した.アセチルコリン受容体に選択的な拮抗薬の存在下および非存在下に,ムスカリン受容体作用薬oxotremorine-M(Oxo-M)を作用させた.細胞内遊離カルシウムイオン濃度変化を,共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いて,経時的かつ空間的に観察した.Oxo-Mにより細胞内遊離カルシウムイオン濃度は上昇した.この上昇作用はムスカリンM3サブタイプ受容体拮抗薬4-DAMPにより選択的に拮抗された.3)転写調節因子c-fos遺伝子発現誘導機構の解析:Oxo-Mは,T細胞系細胞株CEMおよびB細胞系細胞株Daudiにおけるc-fos遺伝子発現を増強した.この作用はムスカリンM3サブタイプ受容体拮抗薬4-DAMPにより選択的に拮抗された. 以上の結果より,TおよびBリンパ球には,1)ムスカリンおよびニコチン受容体が存在していること,2)M3サブタイプを介する細胞外から核へのシグナル伝達機構の存在が明らかとなった.Tリンパ球により合成および遊離されたアセチルコリンが,オートクラインあるいはパラクライン的に,TおよびBリンパ球の機能調節に関与している可能性が示唆された.
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