Project/Area Number |
10771344
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
応用薬理学・医療系薬学
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
坂根 稔康 摂南大学, 薬学部, 講師 (50215638)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 脳腫瘍 / 脳脊髄液 / 鼻腔 / 化学療法 / 薬物伝達システム / 薬物送達システム |
Research Abstract |
前年度の検討で、鼻腔から脳脊髄液への有意な移行が確認されたcisplatin誘導体およびmethotrexate(MTX)の抗腫瘍効果を9L glioma担癌モデル動物を用いてin vivoで評価した。9L gliomaは鼻腔から直接、移行した抗癌剤が高濃度に分布すると予想される前頭葉に移植し、制癌剤を投与しない非治療群および血漿中濃度が同程度となるように投与量を調節した腹腔内投与群を対照とした。まず、シスプラチン誘導体について、腫瘍移植後4日目から3日おきに投与を行い、生存率を抗腫瘍効果の指標として、評価を行ったが、有意な抗腫瘍効果は観察されなかった。50%増殖阻害濃度を上回る脳脊髄液中濃度が得られなかったことが主な原因と考えられる。そこで次に、MTXについて、腫瘍移植後4日目から2日おきに4回の投与を行い、11日目の腫瘍重量を指標として、評価を行った。その結果、両対照群と比較して、鼻腔内投与群の腫瘍重量は有意に小さく、脳脊髄液を介して、脳腫瘍内へMTXを送達できることが明らかとなった。副作用の指標として、体重の変化を測定したが、予想に反して、鼻腔内投与群の体重減少が顕著であった。腹腔内投与群では、体重減少の程度が小さかったことから、MTXによる全身的な副作用とは考えにくく、局所的な副作用と思われた。鼻腔内に投与された薬物は、鼻粘膜上皮細胞が有する繊毛の運動によって、咽頭側へ移動し、最後は食道を経由して、消化管へ流れ込むことが知られている。小腸では細胞分裂が盛んに起こっており、抗癌剤の重篤な副作用が観察されることが知られていることから、鼻腔内投与群における顕著な体重減少の原因の一部は、消化管へ移行したMTXによる消化管傷害の可能性が高く、実際の応用を考える場合には、このような副作用を回避する工夫が重要となる可能性が示唆された。
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