Research Abstract |
褥瘡に対するケアは,訪問看護ステーションで実施されている援助内容の約30%を占め,医療処置としては最も多い項目としてあげられている.また,在宅での褥瘡の発症は,介護者の負担を増大させ,介護継続が困難となる要因のひとつである.そこで,訪問看護ステーション利用者のうち褥瘡発症リスクが高い対象に,褥瘡予防のためのケア,発症後のケア内容,介護状況など実態を把握し、褥瘡発症とケア,介護に関連する要因の検討を行うことを目的とした.また,これらの調査は,昨年度から検討している褥瘡ケアのための介護力評価表を用いた. 調査対象は,訪問看護ステーションを利用しているほぼ寝たきりの要介護者とその主介護者40名であり,訪問面接調査を行った.その結果,介護力評価表各項目の平均点と標準偏差は,介護者の項目では栄養管理3.7±1.2点,入浴・清拭3.0±1.1点,好発部位観察3.5±1.0点,徐圧3.0±1.4点,介護環境の項目では社会資源の数3.7±0.8点,協力者の支援頻度2.9±1.6点,協力者の支援内容2.6±1.7点であった.合計点平均は22.3±4.5点(範囲12〜30点)であった.各項目の点数の割合をみると,介護者では,介護力が比較的高いとされる3〜5点に占める割合が高く,栄養管理では全体の75%,入浴・清拭では65%,好発部位観察では87.5%,徐圧では52.5%であった.また介護環境では,社会資源の数の3〜5点に占める割合は62.5%,協力者の支援頻度では57.5%,協力者の支援内容では42.5%であった.つまり,介護者のケアでは栄養管理,観察の方が入浴・清拭,徐圧より比較的よくなされており,介護環境では,公的支援である社会資源の方が,私的支援の介護協力者の支援よりもよく活用されていた.また,ブレーデンスケール平均点は14点と,先行研究の在宅療養者のスコアとほぼ同様の値であった.
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