Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究は、泳者の泳技術を客観的に評価するシステムの開発を目的とした.泳技術の指標として,ストローク中に手部が発揮する流体力を用い,技術レベルごとに手部出力の絶対値や発揮パターンを客観的に検証できるシステムの構築を目指した.本研究では,人体手部模型を用いたモデル実験と,実際に泳者を泳がせて手部出力の推定を行う2種類の実験を行った.まずモデル実験においては,成人男性右手腕から型を取り,エポキシ系樹脂で手部模型を作成した.手部モデルには,手掌部および手背部の中手指節関節(第2指から第5指)付近に薄型圧力センサー4個ずつ,計八個を埋め込んだ.また手部模型は,三軸方向で測定可能なロードセルに接続し,模型全体に作用する流体力の測定を行った.計測は,回流水槽を用いて行い,流速および迎角を変化させながら圧力と力のデータを収集した.モデル実験の結果,圧力分布結果とロードセルによって測定された流体力との間には,高い相関関係が認められた.この両者の関係から,圧力分布より手部全体に作用する流体力を推定する実験式を得た.泳者を用いた人体実験もモデル実験同様,回流水槽を用いて実施した.泳者に対しては,手部模型とほぼ同位置に圧力センサを装着させ,表面の凸凹をなくすため,ナイロン製の手袋をかぶせ,センサー受感部のみに小さな孔をあけた.被験者として,技術レベルの異なる男女合わせて6名を用い,泳速度および種目を変えて手部の圧力分布を計測した.その圧力値にモデル実験から得られた実験式を適応して,流体力の推定を行った.その結果,これまで困難であった手部出力が経時的に観察可能となり,技術レベルや種目の違いによる力の発揮パターンの違いが明確にされた.また圧力値の変化からある程度,泳動作を推定することも可能となり,技術レベルよらずストローク技術を客観的評価できる有効な指標が得られた.
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