近代開拓村と近代化に関する地理学的研究-栃木県那須野ヶ原と福島県安積開拓を中心に-
Project/Area Number |
10780051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human geography
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
椿 真智子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (80236934)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | 開拓農場 / 華族農場 / 近代化 / 景観 / 風景 / プロイセン / 那須野ヶ原 / 近代 / 開拓 / 華族 / 農場 / 大農経営 |
Research Abstract |
華族農場は大農論を背景に直営農場方式を採用し、牧畜や植林を含む欧米式大農経営を導入した。低い土地生産性や市場の未発達、労働力確保の困難さ、経営コストの増大等の諸要因により、多くの農場では経営が悪化し、欧米式大農経営から水田経営を主体とする地主・小作経営へと経営転換がはかられたが、その一方で、松方農場・青木農場・戸田農場など主として種畜酪農経営や植林経営に特化した農場は、資本家的農場経営を第二次大戦前まで維持し、大規模な近代的景観を創出させた。 本年度は近代的景観を創出・維持した華族農場の中でも、プロイセンをモデルとする独特な景観を創出させた青木農場を中心にその特質を考察し、景観概念を通してみた農場主や経営指導者らの日本的近代化像とその近代性について検証した。青木農場はプロイセン型の植林経営を導入して、伐木および林産物生産を中心に経営を展開し、農場直営方式を第二次大戦まで維持した典型的華族農場であった。そこには、洋風建築の青木別邸に象徴されるように日本のプロイセン・ユンカーを目指した青木周蔵の価値観が投影されていた。一方、福島県安積開拓の場合は大規模な華族農場が発達せず、安積疎水や小河川を利用した水田・畑作経営が進展したため、近代的景観の創出は顕著ではなかった。 開拓農場景観は第二次大戦前より非日本的イメージを伴う景観として人々に認識されていったと考えられ、とくに鉄道の開設や観光の発達などとともに、新たな審美的風景として位置づけられていった。この点については、ほぼ同時期に開設された下総の御料牧場を事例に検討を行った。観光ガイドブックや文学作品にも農場や牧場風景が描かれるなど、大正後半以降、農場景観が近代的観光資源として位置づけられていく過程を読みとることができた。
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Report
(2 results)
Research Products
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