Research Abstract |
科学技術にかかわる専門的な知識,なかでも,情報処理技術に関連する知識をとりあげ,そうした知識を一般の人びとに対して,わかりやすく加工・提示する方法を探った.とりわけ,文書の形式によって情報を提示するときに,そのわかりやすさを規定する要因について研究した. 具体的には,文書の視覚的なデザインが,内容理解にあたえる影響について,実験的に研究をおこなった.たとえば,箇条書き形式のレイアウトを採用すると,読み手が文章の構造を把握するのを助け,ポイントへのアクセスを促進し,スムーズな読解を可能にすることが明らかになった.同様に,適切な段落づけを文章にほどこすと,内容理解,とくに要旨の把握を促進することが示された.これらの結果は,印刷された文書だけでなく,オンライン上の電子テキストについても,適用可能であることが確認された. また,電子テキストのひとつとしての電子メールを対象にして,そこで特徴的に使われる,メッセージの引用という技法が,メール・コミュニケーションのなかで果たす役割についても検討した. くわえて現在,関連するテーマで研究をおこなっている,英・米の研究者とコミュニケーションをとっている.これから,彼らとともに,言語文化の差異という要因も加味したうえで,さらに研究を発展させる予定である.そこでは,文章の読解だけでなく,文章の作成過程にも着目し,文章作成にコンピュータの利用がおよぼす影響といった点についても,検討する計画である.
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