Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
英国中央イングランド大学所蔵の未刊行資料等に対する独自の調査を基礎として,20世紀前半における美術教育改革を主導した教育者であるマリオン・リチャードソン(Marion Richardson 1892-1946)の理論と方法について明らかにし,その独自性を論証するとともに,現代の美術教育へと続く普遍的な問題群に関する探究を示した。その成果は主として以下の各点に集約できる。 1.リチャードソンの生涯と業績,社会的・文化的背景や影響関係などに関する歴史的解明。 特に,当時の美術思想との直接的な相互影響のもとに改革が進展した過程などについての検証を含む。 2.リチャードソンの未刊行講演原稿等の解読をもとにした,美術教育理論の形成過程の解明。 主要7編の講演原稿の全訳を提示し,思想的発展の様相を具体的に提示した。 3.リチャードソンの指導による作品等のデータベース化による分類と分析。 「マインド・ピクチャー」と呼ばれる特異な作品群に対する体系的な探究成果と可能性を示した。 4.内面的視覚の表現に関するトレーニングを中心とした教育方法の全体構造の解明。 リチャードソンの用いた多様な方法の発展過程と位置づけ,教育上の機能等に関する考察を示した。 5.現代の教育における適用事例の検討。 日英で試みた一連の実験的指導例に関する検証と,現代における展開の可能性に関する考察を示した。 これらの成果の一部について,3編の雑誌論文としてすでに発表するとともに,全体の成果に関して,博士論文「20世紀前半の英国における美術教育改革の研究―マリオン・リチャードソンの理論と実践―」(平成11年度筑波大学)として提出した。
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