Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Research Abstract |
北海道内の山岳湖沼である倶多楽湖及び摩周湖において大気汚染物資の降下とその水質に与える影響を明らかにした。摩周湖南西10kmに位置する美羅尾山山頂における大気中のエアロゾル総重量濃度は ; 1.2〜6.1μg/m^3,エレメンタルカーボン ; 0.27〜1.5μg/m^3,有機物 ; 0.29〜2.8μg/m^3及び硫酸成分(SO^4_<2-> ; 0.56〜2.1μg/m^3であった。また,重金属成分濃度はPb:0.13〜6.1,Zn:0.38〜7.2,Ni:0.023〜0.51,Cu:0.011〜0.29,V:0.10〜0.51,As:0.079〜1.1,Cd:0.020〜0.16(単位 ; ng/m^3)で冬期に濃度が増加した。一方,大気降下物中の汚染物濃度には明確な季節変動は見られなかった。また大気中及び大気降下物中からは有機塩素系農薬類は検出されなかった。 倶多楽湖における大気降下物及び水質調査より,1999年10月20日〜25日の間に表層水中のCd,Pbの濃度が増加した(Cd:0.024→0.053,Pb:0.21→0.47(単位 ; μg/L)。そのときの大気降下物中の濃度はCd:0.050,Pb:0.37(単位 ; μg/L)で,6日間の沈着量はCd:0.92,Pb:6.1(単位 ; g)であった。表層濃度は大気汚染物質の沈着により増加したことが推測された。摩周湖において1999年の年間沈着量で1981年から1999年の期間沈着した場合の沈着負荷量はZn:10t,Ni:756kg,V:105kgだった。摩周湖水中の全層平均濃度は1981年(国立公害研究による)においてZn:0.58,Ni0.024,V : 0.15(単位 ; μg/L),1999年においてZn:2.0,Ni:0.028,V:0.26(単位 ; μf/L)であったことから,大気汚染物資の沈着によりこれらの濃度が増加したことが推測された。また美羅尾山で採取した土壌中からβ-BHCが乾燥土壌1gあたり0.5ng,DDE,DDDが0.1ng検出され,やはり遠方起源の汚染物資が大気経由で運ばれ北海道のバックグラウンド地域にも沈着・蓄積していることがわかった。 5日間後退流跡線解析により,これらの大気汚染物資は冬期にロシア・中国等の大陸方面から流入していることがわかった。この結果はエアロゾル中の鉛同位体比による排出源の推定によっても確認された。
|