食虫動物の麻酔作用物質の単離と構造および活性発現の分子機構
Project/Area Number |
10780352
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Bioorganic chemistry
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
末永 聖武 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60273215)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | トガリネズミ / 麻酔作用 / 唾液腺 / 顎下線 / N型カルシウムチャネル開口作用 / ゲルろ過クロマトグラフィー / 麻酔物質 / カルシウムイオン流入阻害 / だ液腺 |
Research Abstract |
トガリネズミは餌とするミミズを噛んで麻酔をかけ、巣穴に貯蔵する習性を持つことが知られているが、その麻酔作用機序および作用物質については明らかにされていない。哺乳類の動物由来の麻酔物質はこれまで知られておらず、トガリネズミの唾液には特異な化学構造と新たな機能を有する物質の存在が期待される。そこで麻酔物質の発見を目指して本研究を行った。 今年度は、唾液腺のうち顎下線と耳下腺をわけて抽出したところ、顎下線の抽出物に顕著なN型カルシウムチャネル閉口作用をみいだした。そこで昨年の夏から秋にかけて北海道東部でトガリネズミを約50頭採集・抽出した。この活性物質は通常有機化合物の精製に良く用いられる逆相HPLCでは上手く分離することができないため、その精製には苦慮しているが、ゲル濾過クロマトグラフィーが比較的再現性よく、また活性を失うことなく精製に用いる事ができることが分かってきた。数段階の分離操作により得た活性画分はまだ混合物であるが、活性物質はかなり極性の高い水溶性の化合物で、酸および熱にはある程度安定であることが分かった。今後、活性画分についてさらに精製を進め、麻酔物質の単離と化学構造の解明を目指して研究を続けていきたい。 なお、トガリネズミの顎下線抽出物のN型カルシウムチャネル閉口作用はN型カルシウムチャネルの開口阻害作用を持つコノトキシンによって完全には阻害されないため、細胞内の小胞体からのカルシウムイオンの放出という現象が起こっている可能性が示唆された。 また、N型カルシウムチャネル閉口作用以外にもミミズやブドウムシなどの小動物への直接的な作用についても検討を進めている。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)