Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 1999: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
鞭毛運動の基礎はダイニンによる微小管の滑り運動である.鞭毛内には少なくとも8種類のダイニン分子種が存在し,それぞれが固有の働きをしていると考えられている.鞭毛運動の発生機構を理解する上で,各分子種による滑り運動の性質を調べることは重要である.本研究では,各分子種のもつ力発生の性質を光ピンセット顕微鏡を用いて調べた.単細胞緑藻類クラミドモナスの鞭毛からダイニンを高塩濃度抽出し,それを陰イオン交換カラムを用いてダイニン外腕(αβγ),ダイニン内腕7種類(a-g)の計8種類に分画した.各分子種を直径1μmの蛍光性ポリスチレンビーズと混ぜ,ダイニンをビーズに吸着させた.それを光ピンセットで操作して,カバーグラスに固定した蛍光微小管に相互作用させた.1分間待った後,ピンセットのトラップをはずしてビーズの動きを観察した.ATPがない状態では,各分子種を吸着したビーズは微小管と結合して動かなかった.今回の実験では,機能的に吸着しているダイニンの数は数分子程度と見積もられた.次に,ATPの存在下でのダイニン吸着ビーズの動きを光ピンセットのいろいろな補足力で調べたところ,ダイニン分子種により異なる現象が観察された.fをのぞくダイニン分子種では,ピンセットのトラップを外すとすぐにビーズは微小管から外れた.一方,ダイニンfを吸着したビーズは微小管にそって十数μmにわたって両方向に滑り運動した.その速度は他の方法で調べられているダイニンfによる微小管の滑べり速度と同程度であった.fダイニンは他のダイニンと同様に微小管の+端から-端に向かって滑走する性質をもつことが確かめられているので,この両方向の運動は非常に意外である.
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