Research Abstract |
神経活動に伴って、脳組織に由来する光学特性が変わることが知られている。このような内因性光学シグナルは血流変化、ヘモグロビンの酸素飽和度の変化及び散乱変化の3つに分類されている。我々はラット脳表からの反射スペクトルを詳細に検討し、ヘモグロビンの吸収変化に匹敵する大きな散乱変化を見出した(1999,J.Cerebr.Blood Flow Metabol.)。さらにこの散乱変化の帰属を明らかにするために、無色の人工血液を使ったさまざまな実験モデルを提案した(1998,J.Neurosci.Methods,1998,Am.J.Physiol.,1998,Biochim.Biophys.Acta,1998,Int.J.Neurosci.)。内因性光学シグナルは血液を無色の人工血液に置換することで消失した。このことから散乱変化が、脳実質組織ではなく血球細胞から由来していると説明された(2000,Brain Res.Protocols)。従来から指摘されている脳実質組織に由来する散乱変化を、この実験モデルでは検出出来なかったが、脳スライスでは確認出来た。さらにこの散乱変化はニューロン及びグリアの細胞膨潤に由来しており、特にグリアで顕著であった。阻害剤の効果からNa-K-2Cl cotransporterの活性化がこの細胞膨潤を引き起こすことが示唆された。輸送体の活性化機構を現在詳細に検討している。
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