Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
よく訓練を積んだ音楽家が楽譜を見ると,頭の中でその音が鳴っているように感じるとの報告が得られる。これは音感保持者の脳内では音の高さが概念化されていて,彼らは目にした楽譜を音のイメージに変換していると解釈することができる。本研究では,視覚的に与えた音符が音楽家の脳内側頭部で聴覚情報として再現されているのかを,時空間分解能に優れた脳磁界計測で明らかにすることを目指した。 被験者は大学で音楽を専攻し,相対又は絶対音感を持っていると申告した女子学生6名である。スクリーン上に視覚にして約3度の四角い白地内に五線譜を表示し,繰り返し間隔1.5-2.0秒で音程の異なる4つの四分音符を楽譜上に1個ずつランダムに呈示した(音符イメージ)。このとき被験者には見えた音符の高さの音を心にイメージするように指示した。対照実験では四分音符を変形したパターンを白地中の定点で点滅させ,被験者には静かにそれを眺めるように指示した(シンボル刺激)。被験者の左側頭部からの脳磁界を北海道大学電子科学研究所の19チャネル二次微分型SQUID磁束計により記録した。 シンボル刺激では潜時150msと250ms付近に,一方,音符イメージでは150-200msと250-400msに脳活動が観測された。音符イメージの活動の内,潜時260-270msのものは純音刺激による聴覚応答の活動源の近傍に推定された。これに対し,潜時150-180msの活動は,音符イメージとシンボル刺激では似た分布を示した。このことから潜時250-400msの活動は音符イメージに特有の活動と思われる。音感保持者が内観的に「音が聞こえる」と表現するものが,脳内の聴覚野近辺での音のイメージの再現である可能性が示唆された。
|