Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究では,従来"顔特異電位"として報告されている,潜時約140msから200msのERP成分を,顔以外の刺激処理と比較して検討した. 実験刺激として,男・女顔写真(顔),アルファベット大文字・小文字(アルファベット),動・植物写真(動植物)の6種類を用いた.被験者は,次々と提示される6種類の刺激中1種類を検出し反応した. その結果,全てに標的条件において,従来の報告と同様,T5,T6導出で陰性N150成分が,またCzでは顔カテゴリー課題での"顔"刺激に対し潜時約240msの陰性成分(N240)が出現した.顔カテゴリー以外の課題では,"顔"刺激に対し潜時約200ms前後の陰性成分(N200)が観察され,その後標的カテゴリー刺激に対し,N240が出現した"顔"刺激に対するN200成分が"顔カテゴリー"以外の課題においても出現したことは,この電位が"自動的顔処理電位"である可能性を示唆する.これらの課題において,同一カテゴリー刺激に対し出現し,特に正中線導出において顕著であった"顔N200"後の成分は,意図的なカテゴリー内弁別処理を反映するものであろう."顔"課題では,顔自動処理と弁別処理が同時に進行し,大きな"顔N240"を生じた可能性がある.他の課題では反応時間に見られるように処理が遅く,これら2成分が分離したと考えられる. 本実験で得られた"顔N200"は,その潜時から見ても,物理的顔形態に対して出現したものではなく,"顔"という日常的に親近性の高い刺激に対する自動的処理を反映するものと考えるのが妥当であろう.従来から顔特異電位といわれる,より早期の成分との関係,あるいは顔処理モデルとの対応づけには,より詳細な実験的検討が必要である.
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