Project/Area Number |
10874059
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物理学一般
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
兵頭 俊夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90012484)
|
Project Period (FY) |
1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
|
Keywords | ポジトロニウム / 四重極モーメント / 陽電子消滅 / 2光子角相関 / 水晶 / ヘキサメチルベンゼン |
Research Abstract |
結晶中のポジトロニウムの四重極モーメントの存在可能性について,Bondarev等が理論的に予言している。それによると、四重極モーメントの効果がナフタレンや高分子結晶中で検出できる可能性がある。本研究は、水晶とヘキサメチルベンゼンの試料に対して、その中に生成するポジトロニウムに対するゼーマン効果(磁気クエンチング)の結晶方位による異方性を測定し、この予言についての実験的な検証を試みた。 測定手法は、陽電子消滅2光子2次元角相関法(2D-ACAR)を用いた。ポジトロニウムが生成する物質に対して、磁場をかけて測定すると、オルソポジトロニウムとパラポジトロニウムのゼーマン混合が起こり、自己消滅の確率が増大する。その割合はポジトロニウムの超微細分裂に依存する。もし異方性のある結晶中のポジトロニウムが四重極モーメントを持てば、磁場の効果に異方性が現れると期待される。そこで、磁場の向きを変えながら,2光子角相関を測定し運動量分布の幅の狭いポジトロニウム成分の強度を測ることによって四重極相互作用を探索した。 2D-ACAR法を用いたのは、検出器の軸のまわりに結晶を回転させながら測定することにより、ゼーマン効果の異方性のみを取り出せるからである。 その結果、水晶については統計誤差を超える異方性は見られなかったが,ポジトロニウムの四重極結合定数の上限見積もることができた。またヘキサメチルベンゼンについては照射効果が大きく異方性の有無は確認できなかった。以上から、四重極相互作用の検証にはさらに高精度の実験が必要であることが分かった。
|