Project/Area Number |
10874079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秋山 公男 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (10167851)
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Project Period (FY) |
1998 – 1999
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1999)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1999: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 電子スピン緩和 / 溶媒和構造 / パルスEPR / 電子スピン分極 / 相関時間 / 有機ラジカル |
Research Abstract |
本研究は、パルスEPR法を用いて常磁性種の電子スピン緩和時間を精度良く決定し、種の溶媒和構造を明らかにすることを目的として行われた。安定ラジカル種については、水酸基の有無とスピン緩和時間との関連について検討を進め、分子の拡散・回転過程に対する溶媒和の寄与について考察した。この点について明らかにするために、アルコールと飽和炭化水素溶媒中で、スピン格子緩和・横緩和時間を決定するための測定を行った。広い温度範囲に渡って決定された緩和時間を解析し、ミクロな溶媒和の寄与を回転相関時間を指標として定量化した。 さらに、安定種と異なった挙動を示すことが示唆されている過渡的に生成する常磁性種を取り上げ、電子スピン分極の緩和過程の解析から、緩和時間を決定することを試みた。その結果、分子サイズがほとんど同じであるにもかかわらず、安定種に比較して、緩和時間は数倍程度長くなっていることが明らかにされた。また、水酸基の有無、溶媒効果は安定種に見られた程顕著ではなく、溶媒和様式が安定種と不安定種で異なっていることが示唆された。この点についてさらに詳細に解明するために、不安定種についても、広い温度範囲渡って緩和時間を決定するための測定を進めた。しかしながら、高温域で十分な信号強度を得ることが出来ず、回転相関時間を精度良く決定するには至らなかった。 本研究で得られた成果から、常磁性緩和時間が、種の溶媒和構造を明らかにするためのプローブとして有効であることが示された。この点を踏まえて、今後、実験条件の検討・観測対象とする系の選択を含めてさらに考察を進める必要があることが明らかにされた。
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