Research Abstract |
ノーマライゼーション思想に基づき,心身障害があっても人里離れた施設ではなく,住み慣れた地域で生活を継続することが望まれている。本研究の目的は,このノーマライゼーションを促進しうる社会システムや計画条件を抽出する事にある。調査対象事例として,近畿地方の過疎農村型(和歌山県大塔村)、まち立地型(滋賀県信楽町),都市立地型(大阪府富田林市)の3事例を選定して,文献調査および現地ヒアリング調査を実施した。 いずれの事例も知的障害者の社会福祉施設の立地過程,地域住民の受容過程,知的障害者のグループホームなどによる地域居住への移行過程などを調査し,個々の地域特性や受容過程の関連性や課題を抽出することにより,今後に向けての地域福祉システムのあり方を検討した。 結果として,1)母体施設が地域住民と積極的に交流することの重要性,2)過疎地域においては,福祉施設の立地が地元住民の雇用,地元での商品購買など,地域経済の活性化に寄与すること,3)グループホーム,生活ホームなどの小規模居住による住宅確保と就労手段の確保が障害者自身の自立生活に重要であるとともに,地域住民の受容過程に有意な要因となること,4)グループホーム運営には,世話人だけでなく母体施設の24時間支援体制が重要であること,などが明らかとなった。
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