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¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1998: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Research Abstract |
(1/3)Fe3O4+(4/3)H2=Fe+(4/3)H2Oこの反応は水素製造の熱化学法の一種であり,豊富な資源量および経済性の観点から有望である。輸送媒体としても鉄3モルに対し,4モルの水素が発生するので,鉱石の鉄品位55%,酸化率90%としても,重量比2.4%の水素輸送が可能となる。この値は既存の実用水素吸蔵合金(MH)の1-3%と遜色なく,製造コストが1万円/kgを越すMHに比べ鉄鉱石は4円/kgで現時点ではかなり有利である。 一方,我が国では鉄鉱石は全量を輸入していて,鉄品位が低く結合水を有する劣質鉱石の割合が年々増大している。結合水は塊成化プロセスにおいて300-500℃の温度範囲で分解し温度低下をもたらすため,プロセス内の的確な温度制御の困難性と燃料費増大が問題となっている。結合水はゲーサイト(Goethite:Fe2O3・H2O),ギブサイト(Gibsite:Al203・H2O),カオリナイト(Kaolinite:A1203・2SiO2・H20)等の形態で含有されていて,乾燥後は極細孔を伴う多孔質体となることが知られている。 そこで本研究では結合水を含有する鉄鉱石の還元・酸化反応特性を基礎的に検討することを目的とした。これまでのところ、熱重量分析により結合水含有率が大きく異なる3種類の鉱石を使用して還元酸化特性を明らかとした。その結果、結合水含有率が大きいほど還元速度、すなわち水素貯蔵速度が大きく、予想通り水素輸送貯蔵媒体として適していることが還元実験は明らかにした。特にゲーサイトを多く含む鉱石ほど有望である。
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