Project/Area Number |
10875164
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物・生体工学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今中 忠行 京都大学, 工学研究科, 教授 (30029219)
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Project Period (FY) |
1998
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 1998: ¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
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Keywords | 光合成細菌 / Chlorobium limicola / ATP:citrate lyase / 還元的TCA回路 |
Research Abstract |
我々が石川県から分離した光合成細菌Ml株について、以下のような解析を行った。まず、M1株の同定を行った。菌学的な性質と16SrRNAの塩基配列を検討したところ、本菌は絶対嫌気性の緑色硫黄細菌Chlorobium limicolaに極めて近縁であることが明らかとなった。また、光合成細菌にはその含有する色素によって、それぞれの種に特徴的な吸光スペクトルを有するが、単離したM1株の生菌体懸濁液の吸光スペクトルは333,459,756nmに吸収極大を持ち、緑色硫黄細菌のC.limicola SMG245株と非常に類似した吸光スペクトルを示した。以上の結果よりM1株はC.limicolaと同定され、C.limicola M1株と命名した。 M1株は絶対嫌気性であったので、次にその炭酸固定系および基本代謝系について調べた。様々な培地条件を検討した結果、M1株は水の代わりに硫化水素を電子供与体として利用し、二酸化炭素を還元していることが示唆された。硫化水素はエビなどに毒性を示すので、M1株の硫化水素を除去する性質が養殖エビなどの増殖促進の1つの要因である可能性がある。M1株の炭酸固定系に関しては、生成するアセチルCoAをヒドロキシルアミンと反応させ塩化第二鉄で発色させた後、比色定量する方法で活性測定を行ったところ、本菌に顕著なATP:citrate lyase活性が存在することが確認できた。ATP:citrate lyaseは還元的TCA回路の鍵酵素であることから、本菌は同回路を利用して光独立栄養生育を行っていることが示唆された。C.limicolaのATP:citrate lyaseの完全精製が未だに報告されていないことから、さらに本酵素の精製を試みた。無細胞抽出液を粗酵素液として硫安分画、陰イオン交換、疎水クロマト、ゲル濾過など各種カラムクロマトに供し、本酵素の精製を行った。その結果、本酵素は約72kDaのサブユニットからなるホモテトラマーであることが判明した。また、精製された本酵素のATP及びクエン酸に対するKm値はそれぞれ2.6mM、1.9mM、反応最適温度は30℃、反応最適pHは8〜9のややアルカリ側であった。
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