TCRβ鎖のみによるMHC結合ペプチドの抗原認識の解析
Project/Area Number |
10877056
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Immunology
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
斉藤 隆 千葉大学, 医学研究科 (50205655)
|
Project Period (FY) |
1998
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1998)
|
Keywords | エイズ / gp160V3領域 / キラーT細胞 / T細胞レセプター遺伝子 / トランスジェニックマウス / 抗原認識 / クローン増殖 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
HIVenv蛋白gp160のV3領域P18ペプチドを認識するキラーT細胞(CTL)のT細胞レセプター(TCR)を単離して、TCRαとTCRβをそれぞれ発現するTCRトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。驚いたことに、TCRβ鎖のみを発現するTgマウス由来の脾細胞をMLRで培養すると、env特異的なCTLが誘導された。このユニークな現象は、このペプチドの認識にはTCRα鎖はあまり重要ではなくTCRβのみでよいこと、あるいは短期間のMLRによって極めて限られたTCRα鎖を有するT細胞が選択・増殖すること、のどちらかに基づくと思われる。まず、TCRβ-Tg由来CTLがTCRの元になったクローンと同様の活性を有するか調べた。クローンと同様にCD8+T細胞がキラー活性を有していた。また、その細胞障害性の特異性は同じであることが判明した。そこで、誘導された特異的なCTLが発現するTCRα鎖を解析したところ、ほとんど総てがTgを作製した元のT細胞クローンのTCRα(Vα42H11)と同一であることが判明した。MLRの前のTgのCD8+T細胞におけるTCRαのレパートリーを調べたところ、同一のTCRαを有するT細胞はほとんどいないことが判った。即ち、このペプチド/MHCを認識して増殖するのは単一のTCRαβを持つT細胞であることが判明した。今まで、TCRβを固定したことによって、これほど単一なTCRαのみが選択され増幅された例はない。当初の仮説のようなT細胞の特殊な認識形式に基づく訳でないことは明らかになったが、逆に、TCRβ鎖の発現だけでもenv-特異的キラー誘導されるので、遺伝子治療の対象として有効であると考えられる。
|
Report
(1 results)
Research Products
(14 results)